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第10回 東京フィルメックス映画祭 記念シンポジウム『映画の未来へ』
11月21日(土)
第10回 東京フィルメックス映画祭 記念シンポジウム『映画の未来へ』と題したイベントに行って参りました。もうね、これがあったお陰でジンさま来日の「GMP」のチケット争奪戦に傍観者になりきれたことを感謝いたします(笑)。

振りかえってみると、2004年の第5回東京フィルメックス映画祭の記念シンポジウム『国際映画祭を語る』は5年も前になるのですねぇ。
フィルメックス デイリーニュース
CINEMA TOPICS

この時は司会進行がイギリスの映画評論家トニー・レインズ氏、パネリストにイギリスのプロデューサーで前ロッテルダム国際映画祭ディレクターのサイモン・フィールド氏、北野武監督、是枝裕和監督、塚本晋也監督、オフィス北野 代表の森昌行氏(ビデオコメンタリーで黒沢清監督、SABU監督、寺島進さん、浅野忠信さん登場)といった錚々たる顔ぶれで、同時通訳の受信機を使うという貴重な体験も楽しかったです(笑)。ところどころ北野監督や塚本監督が混ぜっ返してくれて息継ぎしながら(笑)。
トニー・レインズ氏やサイモン・フィールド氏もウィットに富んだジョークを話されるのですが、これが同時通訳を通して一拍おいた間で聞くことによってまったく面白さが伝わらないどころか、微妙な空気が漂ってしまって困るという不思議な体験も出来ました(笑)。

そのときの経験を踏まえてかどうかは分かりませんが、今回のシンポジウムは映画初心者にも分かりやすく親しみやすいシンポジウムだったように感じました。ただし、それが良かったのかどうか。これが後々まで複雑な思いとなって後味のよろしくない気分を引きずっているのですが・・・。
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シンポジウムのレポはフィルメックスのデイリーニュースが詳細にまとまっていて分かりやすいです。本日第3部までのレポがあがってきましたので是非そちらをご覧になってください。

■<映画の未来へ>第1部:マスタークラス  13:00~14:00

■<映画の未来へ>第2部:セッション1 14:30~16:00

■<映画の未来へ>第3部:セッション2 16:20~18:00

以下は私の覚書です。公式レポだけで十分よくまとまっていますので、お時間に余裕があってダラダラ長文が苦じゃない方だけお読みください^^;



【第1部】マスタークラス
公式レポではやんわり表現されていますが(笑)、北野監督がクリント・イーストウッドの「グラン・トリノ」を「つまらなかった」とバッサリ斬ってました(笑)。私にしては珍しく「観てみたい」と思っていた洋画でしたが、北野監督にはダメ出しされてしまいました(笑)。

「テレビの仕事では絶対に妥協しないが映画は妥協もする」
この北野発言には司会進行の映画評論家の山根貞男氏だけでなく、長年のパートナーである森昌行氏もちょっと驚かれていましたね。北野監督としては「テレビは観てる人はタダだから何やってもいいけれど、映画はお金を払って劇場に足を運んで観てくれる」からという理屈のようでしたが、森昌行氏の「テレビはお金をもらってする仕事だからある程度妥協するのかと思ったけど、映画は思ったようにやっているのかと思った」という(ような趣旨)発言に、北野監督と森プロデューサーの「お金」に対する捉え方の違いが面白かったです。

【第2部】セッション1
黒沢清監督と是枝裕和監督による第2部はこのシンポジウムの一番の核となる部分だったと思います。ちょっと小難しい話なんですが(笑)、でも、5年前のシンポジウムと比べると非常にすっきり分かりやすい話で、国境を越えた共同製作の現状と未来への展望、デジタル化する映画製作現場についてなど興味深く拝聴しました。

【第3部】セッション2
黒沢&是枝監督に、寺島進さんと西島秀俊さんが加わって楽しいトークを展開。俳優2人が加わったことで、主に海外の映画祭での思い出を絡めて、国際映画祭の現状と未来についてのセッション。

是枝監督がフランスの小さな町の映画祭でのエピソードをお話になったとき、そこは幼稚園児が団体で映画鑑賞に来ていたり、映画祭の公式インタビューを町の高校生が行うなど、小さいうちから映画に親しむという習慣を養っているのが素晴らしいと。寺島さんも釜山で小学生が平日にゾロゾロ集団で映画祭に来ているので驚いて聞いてみると「先生が映画祭に観に行くように」と指導しているとか。そういうことこそ映画文化にとって大切なことで「グリーンカーペットやるより意味がある」とサラリとおっしゃる是枝監督が素敵に眩しく見えた瞬間です(笑)。寺島さんのお株を奪う是枝監督ww

また各国の映画祭は制作時期と開催時期の関係で、常連になったり馴染みがあまりなかったりする場合が出来てしまうということで、SABU監督はベルリン国際映画祭の常連だけど是枝監督はあまり縁が無い、と進行の林ディレクターから振られた是枝監督が「ベルリンは食べ物が美味しくない。行くならご飯が美味しいところがいい。」と(笑)。トリノ(だったかな?)は映画祭期間は町のレストランで使える食券がもらえてフェスティバルメニューとかが楽しめるそう。町ぐるみで映画祭を盛り上げることも大事なことだと仰っていました。

そんな話の流れから、ある映画祭でイランの監督がお金がなくてホテルの部屋でカップラーメンを食べているのを見かねた篠崎誠監督が、浅草にお好み焼きを食べに連れて行って身銭をきっていたという話まで飛び出しました(笑)。「あ、それ◎京国際だ」とボソッとつぶやいたのは、やはり是枝監督だったかな(笑)。 またしても遅れをとった寺島さんは(笑)「じゃ来年は俺たち2人でラーメンの屋台やりましょう」って西島さんに提案していました^^
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で、ここから先は萌え系の寺島ファンと西島ファンは読まないでください(笑)。

最初に「後味のよろしくない気分を引きずっている」と書いたことに関してなんですが、
第3部の寺島さん&西島さんが登壇するパートは所謂「ファンサービス」の要素が大きいと思うんです。勿論この2人が選ばれたのはフィルメックスに関わりが深いということもあるとは思いますが、当然趣旨は「映画の未来」というシンポジウムです。まさか去年の丸の内カフェのようなトークショーが展開されるのを期待していたわけじゃないですよね?

第1部の後半に席を立ったのでお帰りになったとばかり思っていた私の隣のお嬢さんが、ひょっこり第3部に戻って来られてはじめて気がつきました。おおっ!!増えてる!!!増えてる!!!
第3部のはじまりに客席がぎっしり埋まっていることに(笑)。要するに俳優さんだけを目当てでシンポジウムのチケット買われた方がそれだけ多かったということで、第3部しか興味ないんですよね(それ、凄く勿体ないですよ)。

西島さんはシネフィルとしても名高くフィルメックスを通して映画の楽しさを伝えてくださっている方ですし、寺島さんも映画人として日本映画興隆の為には誰よりも熱心に愛情を持っていらっしゃる方です。そんなお二人がフィルメックス映画祭のために映画の未来のために集客に一役買って出て来られたんだと思うんですよ。
でも、それは決して寺島さんと西島さんのトークショーイベントじゃないわけで、もしそういうものを期待されているのなら映画の舞台挨拶なり出演映画のトークイベントなりに行けばいいわけですよ。

このシンポジウムの感想を検索していると司会の女性ばっかり喋っていて肝心の俳優の話があまり聞けなかったというファンの方々の不平不満がたくさんヒットします。

たしかに林ディレクターの話は少し長かったかもしれません。ですが、限られた時間内で話を円滑に進めるためにはある程度仕方無かったのかなと納得出来る範囲でした。去年の丸の内カフェのトークサロン「それぞれのシネマ」日本映画編ではVariety Japan編集長の司会はことごとく滑って寺島さんと西島さんがフォローするという場面が散見されましたが(笑)。→関連記事
ですが、それとフィルメックスの林ディレクターを一緒にされるっていうのは、どうなんでしょうか・・・^^;
御贔屓俳優も大事だけど、もっと映画祭の趣旨を理解して参加しましょしょうよ。こんなに長時間に渡って、初心者にも分かりやすい興味深い話が聞ける機会なんてフィルメックス映画祭の企画くらしか無いかもしれませんもん。

ということで、もし次回もこういったシンポジウムを企画される機会がありましたら、出来れば俳優は呼ばなくてもいいんじゃないかと思います。若しくはテレビにあまり露出していない俳優がいいんじゃないかと思いました・・・。誤解のないように申し上げるなら、私も寺島進ファンとしてアニキのお話が聞けたらいいなと思って参加したことは間違いないです。そしてアニキのファンであったお陰で非常に有意義なシンポジウムに参加出来て大満足であったこと。また少し、映画を身近に感じられるようになったことを嬉しく思いました。

by mario5846 | 2009-11-27 01:22 | ◆アニキ♥/寺島進
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