人気ブログランキング | 話題のタグを見る
灼熱の屋上(犬のような日の午後)  
記録的な猛暑がつづいたある日、その事件は起こった…。

灼熱の屋上(犬のような日の午後)  _e0011707_15232167.jpgとある団地の広場。うだるような暑さにうんざりしながらも住民たちはおもいおもいに寛いでいた。
そこに、夫から暴力を振るわれながら主婦が逃げ惑って転がり出てきた。暑さのせいなのか、日頃から澱のようにたまった男たちへの鬱憤のせいなのか、他人のことにはかかわるなという男どもを尻目に、女性たちは主婦を助けようと加勢し、そして勢い余って殺してしまうことになる。
警察と機動隊の出動により逃げ場を失った彼女たち10人は屋上に逃げ込み、警官隊を相手に睨みあいをはじめるのだが…。

って、かなりハードな映画を想像してしまいますが、これが実に気分爽快な痛快コメディなんです。
10人の女性は、DV夫に苦しむ主婦、同じ痛みを持つ離婚した女、夫に浮気をされている主婦、その夫の浮気相手で一人暮らしの独身の女、ホステス、ゲイのクラブ歌手、仕事をしない夫にかわって働きづめの食堂のおばちゃん、団地の婦人会長など、ひとりひとりのエピソードがきちんと丁寧に描かれていて、それぞれが非常に個性的です。どの人物にも共感できるところがあります。

ここにサブストーリーとして泥棒2人組トッペとタルス(イ・ギョンヨン、キム・ミンジョン)が登場し
ます。海外旅行中の留守部屋を狙って忍び込んだ2人ですが、機動隊の出動によって部屋を出ることができずに閉じ込められてしまいます。巻き添えをくった2人、この事件に微妙に絡んでくるのが実に可笑しいんです。

もうひとつのサブストーリーとして、屋上に上がってしまったゲイのクラブ歌手に憧れるニキビ面のカメラ小僧が、下から不安そうに大好きな彼女(女性だと信じてる)を見守ります。このカメラ小僧がチャン・ジンです。11年前ですから、そりゃ初々しいです(危機感もなかった頃でしょう・笑)
俳優としてのデビュー作になるようですが、この作品には脚本の一人としても参加しています。
そのせいでしょうか、冒頭から屋上に集結するまでの流れが特にスピーディーで、ブラックな可笑しさも満載です。それに泥棒2人組の名前トッペとタルスは、監督デビュー作である「あきれた男たち」の主人公の名前と同じでもあります。
キム・スンウやイ・ボムスのカメオ出演に比べると、デビュー作でこれだけ出番のあるチャン・ジン、さすが脚本家としての役得かもしれませんね(笑)

ところで、屋上に上がった女性たちは偶然居合わせてしまっただけで、最初は決してまとまりがあるわけではありません。それが、警官隊の嫌がらせ戦術や、TV中継の介入(そのTVカメラマンがアン・ソクファンです♡)、それによって彼女たちの支援者もあらわれたりと、予期せぬ方向に向かううちに、それぞれの中の女性解放という思いに向かってひとつにまとまっていきます。ラストの彼女たち全員の投降シーンは圧巻です。思わずテレビに向かって拍手をしてしまいたくなるような感動を覚えました。


【おまけ1】
どうでもいいことなんですが、韓国語の「屋上」という意味の「옥상(オクサン)」
機動隊長のチョン・ボソクが屋上に向かって拡声器で「オクサン!」と呼びかけるのがツボです。
分って聞いていても「奥さん!」にしか聞えません(爆)
韓国人にはちっとも面白くない、日本人だけ笑える特別なシーンだなと思うと余計に可笑しくって。

【おまけ2】
このDVDは、【韓国ドラマスター LIVE (2)(竹書房刊)】の付録です。
同じくチャン・ジン監督デビュー作品「あきれた男たち」のDVDは、【韓国ドラマスターLIVE―ヨン様主演「初恋」完璧ガイド&「パリの恋人」全21話収録(竹書房刊)】の付録となっています。
どちらも、最高に面白い作品です。チャン・ジンのファンじゃなくてもオススメです(笑)
by mario5846 | 2006-06-13 15:40 | ◆映画
<< アルムダウン オルグル 神々しい系譜、撮影現場公開 >>