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その河をこえて、五月
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サッカーのワールドカップが日韓共同で開催された2002年に日本と韓国で上演され、日本で「朝日舞台芸術グランプリ」を、韓国で「韓国演劇評論家協会が選ぶ今年のベスト3賞」というダブル受賞をした作品。今年の5月から再演されていて、とても興味があり観たいと思っているうちに行きそびれてしまった「その河をこえて、五月」の劇場中継が日曜日にNHKで放送された。(作:平田オリザ/金明和、演出:李炳焄/平田オリザ)

ソウルの漢江の河原、韓国語教師を中心にして教え子の日本人グループと、彼の家族からなる韓国人グループが一緒に花見をする風景を切り取った作品。韓国語を学んでいるといっても「初級クラス」の彼らの実力はほとんどゼロに近い。その性別も職業も年齢もさまざまで、さらにオリンピック候補で韓国に暮らす在日韓国人とその恋人の韓国人が加わる。対する韓国側は教師の母親と弟夫婦。少女期に日帝時代を過ごした母親は幸か不幸か日本語を話すことができ、憎しみと同時にその時代を懐かしむ相反する気持ちを持っている。弟夫婦のカナダ移民問題をからめつつ、国籍、民族、歴史、文化、教育、世代、男女の差など多様なテーマが存在する。お互いの本音がかなりきわどい台詞として飛び出すが、キャラクターたちを丁寧にコミカルに描くことによって後味はけっして悪くない。こういう芝居が日韓で上映され、しかもきちんと評価をされるという現実を大変嬉しく思った。

降ってわいた休日、2時間半の芝居を2度も見てしまった^^;合計3回見たことになるが、くせになりそうな予感。韓国側の母親役の白星姫は韓国演劇界の重鎮らしい貫禄で、その華奢な体から圧倒な存在感を放っている。
by mario5846 | 2005-08-16 23:16 | ◆その他
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